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【コラム 旅行】はじめての一人旅 ~童貞的精神を添えて~

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初体験――の際にどれだけ冷静に対応できるか。五感と脳をフルに使い、焦らずに落ち着いて物事を進める能力は、とても大切です。

何々?エッチな話ですか~?
そう思われた方、性行為のことではありません。それも含まれるかもしれませんが。

見知らぬことに対峙したとき、うまく対処できる人には「ナイスガイ精神」、焦って失敗してしまう人には「童貞的精神」が宿っている――そんな風に考えることがあります。
※あくまで、私の中での呼称です。「ヤリ〇ン精神」、「チェリーボーイスピリット」では、しっくりきませんでしたので。

とりわけ、旅に出るときなどは普段経験しないこと・初めての体験というものに遭遇しがちです。
あれは、初めて一人で広島に行ったときのことでした。

~~~~~
大学を出たての常識知らずな若者だった私は、初めて一人で旅行することにしました。
場所は広島。原爆ドームや厳島神社を自分の目で見たい――私の胸は躍っていました。

出発日の朝。
品川駅で、さあ新幹線に乗ろう!と思ったら、私は新幹線の特急券しか持っておらず、「それだけでは新幹線に乗れませんよ」と駅員さんに言われ、乗車券を買うことになりました。
新幹線に乗るには、乗車券が必要だということを当時の私は知りませんでした。
あう~あう~、と「ひぐらしのなく頃に」羽生のように焦って戸惑いながらも、私は何とか乗車券を買うことができました。

そのときの乗車券は、往復で22,000円でした。特急券の14,000円と合わせて、計36,000円。
自身の常識の無さを痛感するとともに、朝からお財布にも大打撃をくらいました。
(交通費なので、もともとかかるはずだった費用なのですが)

そしていよいよ、新幹線に乗ろう!と「のぞみ」に乗りました。
颯爽と乗り込み、自分の席を探していたら、私の指定席には白髪の紳士が座っていました。
WHY?
「おじさん、席、間違えていませんか?」そんなことを言える勇気はありませんでした。
車内を見渡してみると、ほとんどの席が空いていました。
あのおじさん、席間違えてるけど。おじさんのせいだし、ほとんどガラガラで空いてるから、座っとけ座っとけ――とその辺の席に腰をかけました。

ワクワクの旅は始まったばかりです。
文庫本でも読もうかとカバンから本を取り出そうとすると、車内アナウンスが入りました。
「次は~東京~東京~、終点でございます。なお~、この電車は回送電車となりますので、ご注意ください」

え? 東京? 終点って、、、
私は、反対行きの新幹線に乗ってしまっていました。

ヤベー。ヤベー。ヤベー。
周囲の人に焦っているのがばれるのは恥ずかしいので、できる限り平然を装いつつ、私の中でヤベーの連呼が鳴りやみませんでした。
(たぶん、他の人から見ても全然、平静を装えてはいなかったのだろうと、今では思います)
あと、品川~東京しか残りの走行がなかったから、座席がガラガラだったことに、今さら気がつきました。

やがて、新幹線は東京駅に到着しました。
わざわざ指定席の券を購入したのに、わずか数分、品川~東京の移動のためだけに、その券は無駄になってしまいました。

はじめての一人旅、こんなはずじゃなかったのに。。。
・乗車券を買うことを知らずに、新幹線に乗ろうとしたこと
・旅のはじめから、反対行きの電車に乗ってしまったこと
私の一人旅は、童貞的精神が負の連鎖を呼び込み、失敗ばかりのスタートとなりました。

・・・仕方がなく、その日は東京駅から自由席で広島まで行きました。
朝8時30分に家を出たのに、広島に到着したのは午後14時45分でした。
ちなみに、私の旅は1泊2日。急いでビジネスホテルにチェックインして、路面電車で原爆ドームに行きました。
原爆ドームと平和記念公園は、無事に見ることができました。
平和記念資料館も、閉館ギリギリの時刻で滑り込みセーフで見れました。

その後、広島城へ向かいました。
すでに宵闇の中、広島城を観光している人は誰もいませんでした。
本来の予定だったら、写真とかで目にしたあの広島城を拝むことができたのですが、時間が遅くなってしまったため、城のかたちがあまりよくわかりません。

今日は朝から(新幹線のことで)バタバタで、大変だったなぁ――童貞的精神で失敗ばかりを招いた旅行初日を振り返りながら、一人でじっくり、闇と混ざり合って本来の姿がよくわからない広島城をじっくりと眺めました。

童貞的精神が発動しまくると、見られるはずだった観光スポットが見られないことを、私は学びました。
「見てみて!これが、広島城だよ!」――旅行から帰った数日後、友人に見せたデジカメには、ほとんど識別できない城郭が暗闇に浮かんでいました。

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